후리가나로 읽는 일본 고전
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
吉川 英治의 平の将門(たいらのまさかど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 232,193자 · 463화면
彼女は、彼に気力をかして、ここから上がるようにすすめたが、だめだった。といって、彼女の嫋やかな腕では、将門の体を、どうしようもない。
「つれて来た梨丸という小冠者が、正門の石段の下で、待っています。その梨丸に、知らせて下さい」
将門は、やっといい得た。彼女は、もいちど、袿衣の裳が、綻ぶのもいとわず、崖をのぼって行った。そして、やがて梨丸をつれて来た。空の茜はうすれて、夕星が見え出していた。
ようやく、将門を、連れ上げて、梨丸は、主人のからだを、背にかけた。高い、暗い、石だん道を、玉虫は、途中までついて来ながら、いたわった。そして、その傷ましい主従の影が、麓の夕闇と一つになるまで見送っていた。
――ふと、人の気はいを感じて、彼女は、石だんを、上へ、戻った。ところが、そこには、彼女にとって、ひどく気まずい人物が渋面をつくって佇んでいた。もちろん、彼女を所有している肉体の主人である。その良兼は、仏教信者でもあるが、また、妻以外に幾人もの女を抱えては、この山荘の局に飼っておくのが、無上な道楽でもある人物だった。
玉虫は、かつて彼が、官途の公用で、上洛したとき、左京の常平太貞盛の案内で、江口の遊里にかよい、ついに、莫大な物代と交易して、東国へつれ帰った女なのである。