후리가나로 읽는 일본 고전
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しんせい
新生
島崎 藤村
島崎 藤村의 新生(しんせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,815자 · 663화면
奥の間がある。上段の間がある。一方には古い枝ぶりの好い松の木や牡丹なぞを植えた静かな庭に面して、廂の深い父の書院がある。それが岸本の生れた家だ。
岸本は赤い毛氈を掛けた父の机の上に父の好きな書籍や、時には和算の道具などの載せてあったことを記憶でまだありありと見ることが出来た。よく肩が凝るという父の背後へ廻って、面白くも可笑くもない歴代の年号などを暗誦させられながら、「享保、元禄……」とまるで御経でもあげるように父の肩につかまって唱えたり叩いたりしたあの書院の内を記憶でまだ見ることも出来た。夜遅くまで物書く父の側に坐らせられ、部屋一ぱいにひろげた白紙の前で、眠い眼をこすりこすり持たせられたあの蝋燭の火を記憶でまだ見ることも出来た。
父は厳格で、子供の時の岸本が父の膝に乗せられたという覚えも無いくらいの人であった。父は家族のものに対して絶対の主権者であり、岸本等に対しては又、熱心な教育者であった。岸本は学校の書籍を習うよりも前に、父が自身で書いた三字文を習い、村の学校へ通うように成ってからは大学や論語の素読を父から受けた。彼はあの後藤点の栗色の表紙の本を抱いて、おずおずと父の前へ出たものであった。