후리가나로 읽는 일본 고전
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しんせい
新生
島崎 藤村
島崎 藤村의 新生(しんせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,815자 · 663화면
京都を指して出掛けて行く時の岸本の側には、最早懐しい旅の心を比べ合うような連も居なかった。でも岸本はまだ牧野が自分の側にでも居るようにして、二人して一緒に望んで行くように、淀川一帯の流域とも言うべき地方を汽車の窓から望んで行った。汽車がいくらかずつ勾配のある地勢を登って行くにつれて、次第に遠い山々も容を顕した。彼は饑え渇いたように車の窓を開け放ち、山城丹波地方の連山の眺望を胸一ぱいに自分の身に迎え入れようとして行った。大阪から京都まで乗って行く途中にも、彼は窓から眼を離せなかった。
京都の宿には、大阪で落合った巴里馴染の画家が岸本より先に着いていた。宿の裏の河原、涼み台、岸に咲く紅い柘榴の花、四条の石橋の下の方から奔り流れて来る鴨川の水――そこまで行くと、欧羅巴の戦争も何処にあるかと思われるほど静かであった。
まだ半ば長途の旅行者のような岸本の心は休むということを知らなかった。京都には巴里の下宿で食卓を共にした千村教授がある。帰国後はもう助教授と言わないで教授の位置に進んだ、仏蘭西の旅でも格別懇意にした高瀬がある。それらの人達に逢う楽みに加えて、宿にはまたリオンの方に滞在する岡の噂や巴里のシモンヌの噂などの出る画家がある。