후리가나로 읽는 일본 고전
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しんせい
新生
島崎 藤村
島崎 藤村의 新生(しんせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,815자 · 663화면
五十六
その日は節子姉弟に取って、谷中から祖母さんや叔父を見に来た最初の時であった。一郎は新しく替った学校の徽章を帽子に附け、手土産を提げ、改まった顔付をしてやって来た。この一郎と一緒になることは泉太や繁をめずらしがらせた。節子は平素にも勝して静粛に見えた。彼女は主に祖母さんの側に居て、谷中の家の様子を聞きたがる年とった祖母さんにいろいろなことを語り聞かせたり慰めたりするという風であった。彼女は近いうちに叔父の手伝いとして復た訪ねて来ることを祖母さんに話して置いて、その日は弟と共に遠い帰路を急いで行った。
こうした親類附合の一日も、しかし岸本に取っては忘れられなかった。これまで展げたことの無い自分の胸を展げて見せて、それを受け入れた節子と今まで合せたことの無いような顔を合せたのもその日であった。彼は節子が帰って行った後になって、反ってよくその瞬間を自分の胸に描くことが出来た。奥の部屋の方に居る自分のところへ縁側づたいに挨拶に来た時の彼女の眼。叔父とか姪とかの普通の心持に妨げられて、どうしてもその時まで合せることの出来なかった二人の心の顔。その日は一同庭先で写真を撮ったが、岸本は写真屋まで使に行くことを節子に頼んだ時のその自分の隠れた心持をも忘れることは出来なかった。