후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
これも信じられない、と甲斐は云った。正成は兵庫へゆくまえに、桜井ノ駅で正行と別れているが、別れに際して恩賜の刀をわが子に与え、自分はこの合戦で死ぬから、おまえはあとに残って、父の遺志を継げと、必死の覚悟を述べている。それを、決戦のまえになって、禅僧の門を敲き、生死関頭を訊く、などということがあるだろうか。
「また、武田勝頼が滅亡したときに」と甲斐は続けて云った、「恵林寺の某という禅僧は、織田勢の手で一山の僧と共に焚殺されたが、そのとき烈火の中にあって、心頭を滅却すれば火もまた涼し、といったそうだ」
かれらは楼門の上で焚殺されたのだ、と甲斐は云った。一人も生き残らなかったのに、その禅僧の言葉を誰が聞き、誰が云い伝えたのか。いや、誰も聞きはしない、禅門が巧みに作った俗話にすぎない。こういう作られた逸話は、ほかにも数えきれないほどある。と甲斐は云った。
そして、そのまま暫く沈黙した。
丹三郎は息をひそめて聞いており、なんのために甲斐が、そんな話しをするのか、と思っていた。家の中はすっかり静かになって、なんの物音も聞えなかった。
「私は、こういう話を、信じなかった」