후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
「あっ、開いておる! 開いておるぞ、ここの杉戸が!」と、金吾を振顧って、事こそあれと叫んだものです。
さては、と金吾も胸のとどろきを覚えました。しかし、万太郎についてそこの異変を検めにゆくのはよいが、その間に、この辺でたしかに見かけた曲者に、逃げる機会を与えてはならない。
「金吾! ……金吾」
と奥ではしきりと万太郎の呼ぶ声がして来ますが、彼は、そう考えて、断じてそこをうごかずにいます。
そして――なおも油断のない目で、中廊下の曲り角から、そこの天井をズウと見上げていますと、覆面をしたひとりの男が、片手を欄間にかけ、片手を柱にグッと伸ばして、あたかも、蜘蛛のようにペタリと体を貼りつけたまま、鴨居の上から、自分をじいっと見おろしているのでした。
梁上の曲者に気がついて、金吾があっとおどろいた途端に、彼の肩先を鴨居の上からぽんと蹴った相手は、軽いからだにその弾力を加えて、ひらりと廊下の向うへ飛び降りました。
そのすばやい踵を肩に与えられて、うしろへよろめいた金吾は、咄嗟に向うへ跳んだ曲者の影をみとめるなり、あまりな意外さに度胆を抜かれた形でした。
それこそ、自分たちが、秩父の神楽堂の下から双子の高原まで追いつめて行って、遂に迫ることのできなかった日本左衛門ではないか。