후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
秋の夜双紙
山伏峠の勾配は、東のふもとにかけてずっと道が楽になります。そこから双子山の間にはいる数十町は、山を忘れる高原の平地で、肩まで没しそうな篠と野草がじょうじょうと秋風に白くなびいている。
「あっ……」
そこを望む所に立って見下ろした時、三人は一様に呆れました。自分達はかなりな速度で急いで来たと思ったのに、今見ると、日本左衛門との距離は、最前から少しも短縮されておりません。
では気がついて、先でも宙を飛んでいるのかと思うと、決してそうではないようです。彼は相変らず、その高原の一すじ道を、急ぎもせぬ足どりで双子の山間へ向っています。
「おゥ――い、日本左衛門」
たまらないで、金吾は遂に手をあげて、先へ向って叫びました。
彼とは、星影の谷間で、互に約したことばがあります。金吾から果し合いを言い込む場合には、いつでもそれを拒むまいとは、日本左衛門が男として断言してある言質でした。
「お――い。おおゥ……いィ」
呼んでは走り、呼んではまた駆け出してゆく。
けれど、絶えず高原をさわがす風にさまたげられて、その声は、まだなかなか先方の耳には届かない様子であります。
すると、不意に三人の行く前へ、四、五人の小娘の――いずれも山家者らしい者たちが、背負い梯子に何かの荷物をつけて、賑やかに笑って来ました。