후리가나로 읽는 일본 고전
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
永井 荷風의 江戸芸術論(えどげいじゅつろん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,130자 · 167화면
二
さるが故に今日の吾人に対してもなほ永久なる恋愛の詩美を表現する好個の象徴として映ずる事を妨げざるなり。不自然なる姿勢は幽婉の境を越えてしばしば神秘となり、これに配置せられたる単純なる後景はあたかもパストラル曲中の美なる風景に等しく両々相伴うて看者の空想を音楽の中に投ぜしむ。かの爛漫たる桜花と無情なる土塀と人目を忍ぶ少年と艶書を手にする少女と、ああこの単純なる物象の配合は如何に際限なき空想を誘起せしむるか。柳しだるる井のほとりに相対して黙然として見るべからざる水底を窺ふ年少の男女、そも彼らは互の心と心に何をか語り何をか夢見んとするや。今もしこれらの図にして精密なる写生の画風を以てしたらんには特殊の時代と特殊の事相及び感情は忽看客の空想を束縛し制限すべし。春信は寔に最少の手段によりて最大の効果を得べき芸術の秘訣を知りたる画家たりしといふべし。
二
鈴木春信の好んで描けるこれら小説的恋愛の画題は奥村政信また石川豊信らのしばしば用ひたるものにして、敢て春信一人の手によりて浮世絵中に現されたるものにあらず。春信の得意とする艶麗なるその意匠はその筆法と色彩とを合せて共に奥村派の諸先輩に負ふ処あり(鈴木春信は北尾重政と同じく西村重長の門人なりと称せらる。