후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
ひがんすぎまで
彼岸過迄
夏目 漱石의 彼岸過迄(ひがんすぎまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 195,333자 · 385화면
僕は今まで気がつかずに彼女を愛していたのかも知れなかった。あるいは彼女が気がつかないうちに僕を愛していたのかも知れなかった。――僕は自分という正体が、それほど解り悪い怖いものなのだろうかと考えて、しばらく茫然としていた。するとあちらの方で電話がちりんちりんと鳴った。千代子が縁伝いに急ぎ足でやって来て、僕にいっしょに電話をかけてくれと頼んだ。僕にはいっしょにかけるという意味が呑み込めなかったが、すぐ立って彼女と共に電話口へ行った。
「もう呼び出してあるのよ。あたし声が嗄れて、咽喉が痛くって話ができないからあなた代理をしてちょうだい。聞く方はあたしが聞くから」
僕は相手の名前も分らない、また向うの話の通じない電話をかけるべく、前屈みになって用意をした。千代子はすでに受話器を耳にあてていた。それを通して彼女の頭へ送られる言葉は、独り彼女が占有するだけなので、僕はただ彼女の小声でいう挨拶を大きくして訳も解らず先方へ取次ぐに過ぎなかった。それでも始の内は滑稽も構わず暇がかかるのも厭わず平気でやっていたが、しだいに僕の好奇心を挑発するような返事や質問が千代子の口から出て来るので、僕は曲んだまま、おいちょいとそれを御貸と声をかけて左手を真直に千代子の方へ差し伸べた。