후리가나로 읽는 일본 고전
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
夏目 漱石의 彼岸過迄(ひがんすぎまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 195,333자 · 385화면
僕と作とはそれまでほとんど用の口よりほかに利いた事がなかったのである。僕は鎌倉から新らしい記憶を持って帰った反動として、その時始めて、自分の家に使っている下婢の女らしいところに気がついた。愛とは固より彼女と僕の間に云い得べき言葉でない。僕はただ彼女の身の周囲から出る落ちついた、気安い、おとなしやかな空気を愛したのである。
僕が作のために安慰を得たと云っては、自分ながらおかしく聞こえる。けれども今考えて見てもそれよりほかの源因は全く考えつかないようだから、やっぱり作が――作がというより、その時の作が代表して僕に見せてくれた女性のある方面の性質が、想像の刺戟にすら焦躁立ちたがっていた僕の頭を静めてくれたのだろうと思う。白状すれば鎌倉の景色は折々眼に浮かんだ。その景色のうちには無論人間が活動していた。ただそれが僕の遠くにいる、僕とはとても利害を一にし得ない人間の活動らしく見えたのは幸福であった。
僕は二階に上って書架の整理を始めた。綺麗好な母が始終気をつけて掃除を怠たらなかったにかかわらず、一々書物を並べ直すとなると、思わぬ埃の色を、目の届かない陰に見つけるので、残らず揃えるまでには、なかなか手間取った。