후리가나로 읽는 일본 고전
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 探偵夜話(たんていやわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 140,363자 · 277화면
有喜世新聞社では一種の艶種と見過ごして、その以上に探訪の歩を進めなかったらしく、単にそれだけの事実を報道するにとどまっていた。鯔の腹から手紙のあらわれたことは支那の古い書物にも記されている。鯔の腹から状袋が出ても、さのみ不思議がるにも当たらないかも知れない。殊にその当時七十五銭で買われるくらいの大鯔ならば、なにを呑んでいるか判ったものではない。記者もそのつもりで書き流し、読者もそのつもりで見過ごしてしまったであろうが、僕は偶然の機会からその状袋の秘密を知ることが出来たのである。
といっても、明治十五年――そのころは僕がようよう小学校へ通いはじめた時分であるから、その時すぐに判ったのではない。後日に偶然聞き出したのであることを、まず最初に断わっておく。僕の叔父の知人に溝口杞玄という医師がある。その医師がこの新聞をみると、すぐに京橋の警察署へ出頭して、秘密に某事件の捜査を依頼したのであった。
溝口医師はそのころ麹町の番町で開業していた。今でも番町の一部はあまり賑かではないが、明治初年の番町辺はさらにさびしかった。元来がほとんど武家屋敷ばかりであった所へ、維新の革命で武家というものが皆ほろびてしまったのであるから、そこらには毀れかかった空き屋敷が幾らもある。