후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
驚くべき敏活な動作を見せつけられて、日本左衛門すら、その姿を追うのに心を急いた程です。そして毎日会っているお蝶とは、まるで別人の気さえしました。
「ヨハンや……ヨハンや……」
敏捷に忍びやかに、榎の下の石牢まで寄って行ったお蝶は、
「ヨハンや、今帰ったよ」
極めて低い声でその鉄窓をほとほととたたきました。
「オオ、お姫様ですか」
陰静な答えが暗で応じます。
「入口をこしらえておくれ」
「ただ今」
黒豹のようなヨハンの影が、鉄窓の下の一部の桟をはずしますと、お蝶は忽ちその中へ影を消して、うしろの木蔭まで尾けて来た日本左衛門をして茫然とさせました。
「ああ、これはどうした事だろう? ……」
さすがの彼も、この奇異な事実を目のあたりに措いて、何の想像も判断も及びません。
石室の中では、ほんの微かに、茶色の鈍い光線が射したように思われましたが、それは一瞬で、依然たる冷たい暗と沈黙があるのみです。
ほとんど、地をはうようにして、鉄窓の外に耳を付けてみると、黒い帳を垂れたヨハンの寝床で、お蝶とヨハンとの話声が、木の葉のささやきぐらいな低声で彼の研ぎすます聴覚へ触れて来る。