후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
ハッとして、物蔭へ身を退きながら、息を殺した日本左衛門は、途端に目の前をススと通ってゆくお蝶の影を見上げて、
「ウーム……」と思わず出る唸き声が、唇を破りそうになる。
ヨハンの石室から出て来たお蝶は、前のお蝶の身装とはまるで姿が変っていました。紫巾振袖の艶冶の色子すがたは、黒ずくめの覆面と小袖の膝行袴にくるまれ、足さえわらじばきの軽々しい身ごしらえです。
飛鳥という形容は、それから刹那の先に見た、お蝶の行動にこそふさわしいことばでしょう。
その足が、以前の塀際へ向ったかと思いますと、すぐに姿は塀のミネに止まって、椋の梢に白い手が伸びるや否、ちょうど黒描が跳んで降りたように、大地へ降りた地ひびきもしない間に、彼女はもう山屋敷の外をスタスタと向うへ歩いている。
長い高塀の角を横に曲って、切支丹屋敷の表門を過ぎる頃から、さらにその足どりは加速度になって、摺り足から小走りに、小走りから宙を飛ぶ如く変って行く。
こんもりとした森と森の間を抜けると、俄に胸つきの急勾配になって、やがて鼠坂を上がりきると、また一方の森へはいる。
「はてな。どこへ行くのか?」と、後を慕ってゆく日本左衛門は、さながら彼女のために五里霧中を引き廻されているような気がしています。