후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
今し方、どこぞで聞いた声のようだが――と思いながら、影ににひとみをこらして見ると、ガッシリした町人体の、大地に膝を突いて屈まっている様子、手坑いすべき態度でないのは分っているが、嫌なことには此奴も一本、銀のギラつく磨きの十手を、支いている手裡にかくしてつかんでいます。
「――路傍、かような場所がらで、身分の低い手前などが、直々お声をかけるのさえ、何とも畏れ多い次第でござりますが、事火急の場合、特に御仁恕をもって、暫時応対御免下しおかれますれば、有難い儀と存じます」
ははあ、こいつはわしの素性を知っているな。
万太郎はかく思いましたので、
「ウム、ゆるす!」
衣ずれの――ふところ手。
「呼び止めたのは何の用事であるか、申して見い」と、屋敷言葉で鷹揚に見下します。
「と申すお願いは、他でもございませんが、今夜は手前が十手の指図役となって、御府内の兇賊狩を決行いたしております晩なので、貴人の御身として、かかる所をお歩きあっては御身辺の危険、ことに吾々にとりましても、配置追っかけ誘引の捕物の陣取上に、まことに邪魔になって困却いたします」
「邪魔になる? ……」
「へい、恐れ入りますが、今宵はすぐ根岸のお住居へ、お引取り下さいますように」