후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
「たれじゃ」
「猫ではございませぬか」
と見廻していた久米之丞は、突然、顔じゅうに笑みをくずして、
「やあ、お嬢様が」
と、落着かない挙動となる。
なるほど、それへ見えたのは次郎を連れた月江です。衣服を更えて久し振りに、屋敷の湯に浸って化粧を改めた月江の姿は、今旅から帰った人とも見えず、久米之丞にはまぶしすぎる。
「月江、おまえか。今そこの山吹のうしろで何かしていたのは」
と、顔を見るとすぐに、千蛾老人がこう尋ねましたので、月江も次郎も不意をうたれたように、
「いいえ」
と顔を見合せています。
「たれだろうか?」
月江でも次郎でもないとすると、そこの山吹の蔭で、今、二人の密話をぬすみ聞きして逃げた者がほかにあるに違いない。
「おかしいのう……」
と、千蛾は眉をひそめましたが、久米之丞はもうそんな事にこだわりなく、
「さ、月江殿こちらへ」
と、自ら床几の位置を直して、彼女の瞳を待ちましたが、月江はそれへ一暼も与えず、千蛾のそばへ寄って、
「お祖父様、ただ今帰りました」
「おう」と、久し振りの孫娘へまなじりを細めて――「どうじゃッたな、熱海は」
「ほんとに面白うございました。