후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
行けば吉。行かねば凶。断じて大凶です。
今もたもとからその文がらを出してみて、これは、乳母のお咲の心くばりではなかろうか、などと考えながら行くうちに、お蝶は、何か触覚の異様なものに、足元をすくわれて、思わずそこによろけました。
はっとしたのは、目の前に仆れている黒いものを見たからです。人間です。露ッぽい草のなかに、短い髪の毛を散らばしてうツぶしている一個の死骸は夜目にも明らかな女であります。
「おや?」
お蝶が、死骸をみてつぶやいた声は、いかにも他人ごとのようでした。
次には、そばへ寄って、
「どうしたのかしら? ……刀傷もないし締め殺された様子もない。そのくせ、死んでいるなんて」
おかしい事のように仮面のなかで言いました。
そして、女の髪の毛が、短く切りとられてあるのを見くらべて、お蝶の好奇心は、死者を見る同情などを忘れている。
まったくその死顔は、死顔というべくあまりに凄艶です。むしろ作り物にしろ、生けるお蝶の仮面の方がどれほどすごいかわかりません。
「あらッ?」
そのうちに、お蝶はこう言って、やにわに顔につけている洞白の仮面を、額の上へめくりました。