후리가나로 읽는 일본 고전
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
吉川 英治의 江戸三国志(えどさんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 577,271자 · 1141화면
「ふーム、では、万太郎の如き、迂遠なまねをしていては駄目だの」
「おそれながら、今のままでは、御失望が目に見えております。しかし、お案じ遊ばすな、及ばずながら、千蛾ができうる限りの、御助力をいたしましょう程に」
「ほ。そちがわしを助けて、夜光の短刀を身のものにして見せるというのか」
「ついては、千蛾が折入って、お願い申す一儀がござります。あえて、御尊体を別室までお運び願いました次第、なんと、お聞き届けを願われましょうか」
そういうと、千蛾はさらに畳をすべって、白扇を寝かしたように平伏しました。常に、村の将軍家と異名されるほど、見識の高い御隠家様自身が、かくも、身をへりくだって頼むというのは只事とも思われません。
ことに、夜光の短刀の望みさえすてて、それにも代えようという頼みは何でありましょうか?
昼のようだった庭面の月が、うすい雲の膜につつまれて、月蝕の晩のようなほのぐらさでした。
その頃、例の奥まった所にある石神の拝殿に腰かけていた一つの人影が、名月や池をめぐりて夜もすがら――そんなふうに、ふところ手をして、秋草の間をあるいていたかと思うと、いつか、千蛾の部屋の窓明りをぬすんで、その雨落ちの下に、盲蜘蛛のようにかがみ込んでいました。