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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
小林くんは、これを聞くと、じっと考えていましたが、やがて、
「これには、なにか、わけがあるらしいね。よしっ、ぼくは、すぐにじむ所へ帰って、明智先生にそうだんする。そして、きみたちをまもってあげる。ちっとも心配することはないよ」
といって、たけしくんのかたをたたくと、そのまま、夕やみの中へかけだしていってしまいました。
それから、一時間ほどたったころです。あたりは、もう、すっかり暗くなっていましたが、木村さんの家のへいの外を、黒いものが、ちょろちょろと動いていました。
暗くてよくわかりませんが、なんだか、六つか七つぐらいの小さな子どものようでした。その子どものすがたが、まだ開いたままの木村さんの門の中へ、すうっと、すべりこむようにはいっていきました。
その子どもは、いったい、なに者だったのでしょう。むろん、小林くんではありません。もっと、ずっと小さい子どもです。
あっ、そうです。少年たんていだんの、ちんぴらたいのポケット小ぞうにちがいありません。
ポケット小ぞうというのは、ポケットにはいるほど小さいというので、こんなあだ名をつけられたのですが、からだは小さいけれども、じつにすばしっこい、りこうな少年です。