轻松读懂日语经典作品
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みずぐるま
みずぐるま
山本 周五郎
「面白倶楽部」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,077 字 · 54 页
年は二十四、五歳、背が高く色が白く、いやにやさしい声を出すにやけた男であった。ちょうど昼食刻のことで、あたりには誰もいなかったが、それでも彼は神経質に眼をきょろきょろさせながら口早に云った。
「貴女が姫のお手直しにあがる河内若尾さんですね」
若尾は黙って頷いた。
「弘田の家から来たんでしょう」彼はこう云ってにやりとした、「私は貴女を知っていますよ」
若尾は不審そうに相手を見た。
「私は貴女を知っている」と彼はうちとけた口ぶりで云った、「弘田よりもまえからね、弘田を貴女のところへ伴れていったのは私なんだ、まさかと思ったが、弘田から来たというし、薙刀を教えるというのでそれとなく気をつけていたんですよ、たいした出世で、弘田もよろこんでいるでしょう」
若尾は警戒の眼で彼を見た。
「仰しゃることがよくわかりませんけれど」と若尾は云った、「いったいあなたはどなたですか」
「いや心配しなくともいい、私は誰にも云やあしない、こんなことを誰に云うもんですか」と彼は言葉を強めて云った、「もし心配なら弘田に手紙をやってごらんなさい、私は彼の古くからの友達で谷口修理という者です、弘田や貴女のためになら、よろこんでお役に立つ人間ですよ、本当に問合せてごらんなさい、そうすれば私という者がよくわかりますから」