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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页

青空文庫

「お岩さんなんか、とっても執念ぶかいの、そのうちここへ押掛けて来るかもしれないわ」

「じょ、じょ、冗談じゃあねえ、とんでもねえ、お岩さんなんぞに来られて堪るものか、そいつだけあ断わってくれ、聞いただけでも肝が縮まあ」

弥六の震えあがるのを見て、お染は笑ったが、ふと思いだしたような眼つきになって、

「念を押しておくけれど、こんだ抱えた娘の若いほうね、あの娘にはあんた気をつけて頂戴よ」

「あの娘になにかわけでもあるのか」

「あるのよ、あの娘は前世でたいへんな浮気者だったの、縹緻はそれほどでもないけれど、体や性分がそう生れついたのね、あの若さで三十幾人かの男を騙して、その恨みで男のために殺されたのよ、今だって男のゆうれいさえ見ればくどくんだから、それがまたとっても色っぽくて上手なんだから、いいこと、……気をつけてひっかからないようにしないと、もしあたしに嫉妬をやかせでもしたら、わかってるわね」

「なんだ、そんなことか、それなら念にあ及ばねえ、おめえ一人でもて余してるくれえなんだから、浮気なんてとんでもねえ」

彼はこう云って、眉をしかめてみせた。

ここで六人の幽霊を紹介するわけだが、お話の先をいそぐので、すぐに商売へとりかかることを許して頂く。