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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
それに私たちの関係では、低温研究所が、兵舎として接収されていた。
ケリイさんは、こういう問題を一々丁寧に調べ上げて、その解決のために、いろいろ尽力してくれた。低温研究所の接収解除などにも、大いに働いてくれた。文官が軍人のすることに嘴を容れることは、アメリカでも、もとの日本同様に、非常にむつかしいのであるが、ケリイさんは、到頭それを実現させてしまった。少なくも解除の促進をやってくれた。
この時の札幌訪問には、ケリイさんにとって、忘れがたい印象を残した事件があった。それは、ついでに石狩川の河口を視察に行ったのであるが、その帰途に起った事件である。札幌から石狩河口までは、五里くらいもあるかと思うが、冬の間は、交通機関としては、馬橇しかない。馬橇は、幌をかけると、ひどく酔うので、ほとんど全部オープンである。従って非常に寒く、雪まじりの強い風をまともに受けて走る時などは、いくら防寒の支度をよくして、毛布にくるまっていても、一、二時間もすれば、骨の髄まで冷え込んでしまう。
ところが、ケリイさんの場合は、帰途、夕方になってしまって、しかも天気が急にかわって、ひどい吹雪になってしまった。