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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页
るる、立派な考えを蓄えていらるる、学徒どもの示しにもしたいような、老衲も思わず涙のこぼれました、五十分一の雛形とやらも是非見にまいりましょう、しかし汝に感服したればとて今すぐに五重の塔の工事を汝に任するわと、軽忽なことを老衲の独断で言うわけにもならねば、これだけは明瞭とことわっておきまする、いずれ頼むとも頼まぬともそれは表立って、老衲からではなく感応寺から沙汰をしましょう、ともかくも幸い今日は閑暇のあれば汝が作った雛形を見たし、案内してこれよりすぐに汝が家へ老衲を連れて行てはくれぬか、とすこしも辺幅を飾らぬ人の、義理明らかに言葉渋滞なく云いたまえば、十兵衛満面に笑みを含みつつ米舂くごとくむやみに頭を下げて、はい、はい、はいと答えおりしが、願いをお取り上げ下されましたか、ああありがとうござりまする、野生の宅へおいで下さりますると、ああもったいない、雛形はじきに野生めが持ってまいりまする、御免下され、と云いさまさすがののっそりも喜悦に狂して平素には似ず、大げさに一つぽっくりと礼をばするや否や、飛石に蹴躓きながら駈け出してわが家に帰り、帰ったと一言女房にも云わず、いきなりに雛形持ち出して人を頼み、二人して息せき急ぎ感応寺へと持ち込み、上人が前にさし置きて帰りけるが、上人これを熟視たまうに、初重より五重