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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页
其十九
寝てでもしまおうよ、と聴けば一々道理の述懐。お浪もかえす言葉なく無言となれば、なお寒き一室を照らせる行燈も灯花に暗うなりにけり。
其十九
その夜は源太床に入りてもなかなか眠らず、一番鶏二番鶏を耳たしかに聞いて朝も平日よりははよう起き、含嗽手水に見ぬ夢を洗って熱茶一杯に酒の残り香を払う折しも、むくむくと起き上ったる清吉寝惚眼をこすりこすり怪訝顔してまごつくに、お吉ともども噴飯して笑い、清吉昨夜はどうしたか、と嬲れば急にかしこまって無茶苦茶に頭を下げ、つい御馳走になり過ぎていつか知らず寝てしまいました、姉御、昨夜私は何か悪いことでもしはしませぬか、と心配そうに尋ぬるもおかしく、まあ何でも好いわ、飯でも食って仕事に行きやれ、と和しく云われてますます畏れ、恍然として腕を組みしきりに考え込む風情、正直なるが可愛らし。
清吉を出しやりたる後、源太はなおも考えにひとり沈みて日ごろの快活とした調子に似もやらず、ろくろくお吉に口さえきかで思案に思案を凝らせしが、ああわかったと独り言するかと思えば、愍然なと溜息つき、ええ抛げようかと云うかとおもえば、どうしてく