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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页
其十六
頭を徐かに上げ円の眼を剥き出して、一ツの仕事を二人でするは、よしや十兵衛心になっても副になっても、厭なりゃどうしてもできませぬ、親方一人でお建てなされ、私は馬鹿で終りまする、と皆まで云わせず源太は怒って、これほど事を分けて云う我の親切を無にしてもか。はい、ありがとうはござりまするが、虚言は申せず、厭なりゃできませぬ。汝よく云った、源太の言葉にどうでもつかぬか。是非ないことでござります。やあ覚えていよこののっそりめ、他の情の分らぬ奴、そのようのこと云えた義理か、よしよし汝に口は利かぬ、一生溝でもいじって暮せ、五重塔は気の毒ながら汝に指もささせまい、源太一人で立派に建てる、ならば手柄に批点でも打て。
其十六
えい、ありがとうござります、滅法界に酔いました、もう飲やせぬ、と空辞誼はうるさいほどしながら、猪口もつ手を後へは退かぬがおかしき上戸の常態、清吉はや馳走酒に十分酔ったれど遠慮に三分の真面目をとどめて殊勝らしく坐り込み、親方の不在にこう爛酔では済みませぬ、姉御と対酌では夕暮を躍るようになってもなりませんからな、アハハむやみに嬉しくなって来ました、もう行きましょう、はめを外すと親方のお眼玉だ、だがしかし姉御、内の親方には眼玉を貰っても私は嬉しいとおもっています、なにも姉御の前だからとて軽薄を云う