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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

僕はどうもあとの考えかたの方が本当らしく思われるのです。実に恐るべき相手ですよ」

「マア、何ということでしょう。あいつらはあなたのお父さまをあんな目に合せ、大切なノートを盗み、その上たった一人の被疑者を殺してしまいましたのね。あいつらはこれで完全に目的を果したというわけですのね。

新一さん、わたしは滝にうたれている間に、悪者たちのひそひそ話をハッキリこの耳で聞きましたのよ。わたし、顔を見ることは出来ませんでした。みんな西洋の泥棒のように覆面をしていたからです。場所もどこだかよく分りません。暗い地下室のような感じでした。暗くてよく分らなかったけれど、そこに、覆面の奴が五六人もあつまって、ひそひそ相談をしていたのです」

京子は立止って、目を細くして、どことも知れぬ空間を見つめながら、声を低めて、異様なことを語りはじめた。彼女には何かしら神秘な霊媒とでもいうような特殊の感覚が備わっているのではないかと思われたのである。

「覆面の男達は外国語で喋べっていましたが、不思議にもわたしにはその意味がよく分りました。男達は日本の主だった飛行機工場に爆弾を持ち込んで、重要施設を破壊することを相談しました。