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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页
横穴待避壕
怪しい奴を見つけたというような」
「そういうことはなかったようです。今もそこを通りかかって、見張りの者と話をして来たのですが。昨夜から何の異状もないということでした」
「そうですか。それじゃ行って見る値打ちがありそうです。望月さん、無駄足を踏むつもりで御同行下さいませんか。僕は何だか曲者がまだそこにいるような気がするのです」
新一は又しても意表外のことを口走り、もう寝台の上に起き直っていた。そして、京子が止めるのも聞かず、ノコノコと部屋の隅に行って靴を穿いてしまった。
一同はこの負傷者の物にとりつかれたような所業に圧倒された形で、茫然と眺めていた。
「望月さん、さア行って見ましょう。懐中電燈はここにあります」
そこの椅子の上に置いてあった国民服の上衣を着て、ポケットから筒型懐中電燈を取り出して見せるのであった。
望月少佐は絶えず微笑を含んで、新一青年の唐突な所業を見守っていたが、彼が病室を飛び出して行くのを見ると、別にそれを止めるでもなく、大股に彼のあとを追って行った。
横穴待避壕
頭部と顔面の大部分を白い繃帯でつつんだ新一青年の異様な姿が、問題の第二、第三工場の中間の細長い空地に現われた。