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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

「では、わたしの推論が正しいことを認めるのですか。ブウリーから君に至るまで四代に亙る大陰謀を、君は認めるのですか」

新一は再び目を閉じて黙り込んでしまった。

「わたしは君の先祖を調査してブウリーに行当った時、わたし自身の推論の恐ろしさに身震いしないではいられなかった。ブウリーの名は戸籍簿にはない。大川新太郎で行止りになっている。大川新太郎からブウリーまで辿りつくのに、わたしは非常な苦労をした。五十嵐博士は無論君のお母さんが第二代の混血児であることは知らなかった。お母さんの方からは決して打明けなかったのだ。博士は恐ろしい間諜を妻とし子として、それに少しも気づかず研究に没頭しておられたのだ。

この陰謀の計画者が第何代の大統領であったか、第何代の軍部首脳者であったか、わたしは知らない。併しブウリーという男が、その大使命を負び、十分の訓練を受けて日本にやって来たことは間違いない。そして、出来るだけ純粋な日本婦人を選んで結婚したのだ。彼はそういう命令を受けて来たのです。そして、その日本婦人との間に生れた子供にアメリカ流の愛国心を植えつけ、日本にいながら、日本人とよく似た顔をしながら、しかも日本国に深い憎悪を抱き敵愾心を持ちつづけさせるように教育するのが、彼ブウリーの一生の仕事だったのです。