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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

また僕が父の本当の子でなかったことも知っています。しかしこの僕が四代がかりで造り上げられた間諜だなんて、恐らくあなたの夢ですよ。悪夢ですよ。あらゆる事実がそれを証明しています」

「証明だって、一体何を証明しているというんだね」

「例えば、僕は父を殺し得なかったということをです。子が父を殺すということがあり得ないばかりでなく、それは物理的に不可能だったではありませんか。あなたはこれをどうして証明しようというのです」

新一は青ざめていたけれど、少しも狼狽してはいなかった。彼の表情には何かしら不思議なものがあった。好意と悪意と、肯定と否定との奇妙な混淆が感じられた。

「では、殺害事件そのものについて、わたしの推論を試みよう。君がそれを望むならば」

「エエ、聞かせて下さい。僕はそれを待っていたのです」

望月少佐は居住いを直して語り始めた。

「わたしが山の研究所へ出向いて、最初に見つけたものは、金庫や窓ガラスなどに残っていた犯人の指紋だった。わたしの部下はその指紋の主を突き止めて逮捕した。だが、彼は犯人ではなかった。わたしは彼と一時間ほど会話をしてそれを悟ってしまった。