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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
「宜しく頼む。明治学園は矢っ張り好いよ」
と帰り新参共は下から出た。
私達七名の同級生は能く折り合った。野崎君と赤羽君も懇親会の組打が最後だった。互角のことが分ったのか、再び腕力に訴えるようなことはなかった。時折険悪になっても、直ぐに又肝胆相照らす。この二人に高木君が投じて、三人始終一緒だった。これには煙草という共通の嗜好があった。私はこの三人にも好く、又信者の安部君と吉田君にも親しかった。級長の立花君は何方にもつかない。常に単独行動を執って、当局の信用を博するに汲々としていた。
学課は案外楽だった。先生が大抵アメリカ人で何でも英語で教えるから、最初の中はまごついたが、間もなく慣れた。唯七名だから、毎時間輪講が当る。赤羽君も、
「おれの言った通りだろう。否応なしだ。これで力がつくんだ」
と先見の明を誇る以上、相応勉強しなければならなかった。
「これなら申分ない。落第がないってんだから安心だ」
と野崎君も腰を据えた。
「高等学部に限って落第は決してありません」
と立花君が保証した。
「何故でしょう?」
「高等学部は生徒は紳士として待遇するんです」
「成程。三階から小便したり、大変な紳士だ」