轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

「何うしたんです?」

「実は僕は養子に行く約束でこの学校へ来ているんだ。それで煩悶している」

「養子が罪悪ですか?」

「いや、養家先の商売が宜しくない」

「何です?」

「遊廓だ」

「え?」

「女郎屋だよ。僕は中学校へ入りたいばかりに承知してしまって、今更後悔している」

「それで何うするんです?」

「逃げる。こゝにいたんじゃ何うしても縁が切れない。これからは腕一本でやる」

「何処へ逃げるんです?」

「無論東京さ」

「いつ?」

と私が訊いた時、

「どけ! どけ/\」

という声がかゝった。同級生両三名が木馬を飛びに来たのだった。長谷川さんは、

「近々」

と答えて歩き出した。

「長谷川さん」

「何だい?」

「こゝにいて縁を切る法はないんですか?」

「絶対にない」

「しかし後一年足らずですよ」

「利害関係は考えていられない。僕は基督教は信じないが、罪悪ってことが能く分った。この上自己を欺き切れない」

「おい/\、又議論かい?」

と小松さんが寄って来たので、話はそのまゝになった。

翌日、長谷川さんは学校へ来なかった。小松さんが、

「河原君」

と呼んで、私を北村さんのところへ引っ張って行った。

「何ですか」