轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页

青空文庫

が、一時間後、並んでホテルを出た時には、もう信吉は伊都子の体を隅々まで知ってしまっていた。急行列車が通過する早さで知ってしまったのだ。

その女の方から誘いを掛けて、信吉の胸に飛び込んで来たとはいうもののその余りのあっけなさはさすがに悔恨となっていた。しかしこの悔恨から来る寂しさではなかった。もとより、ああ雨が降っている……というしみじみした感傷でもなかった。

伊都子と部屋に居る間、そのことと関係なしに雨が降っていたということ、しかもそれを知らずにいたということ、ホテルの部屋と雨が降っている戸外とが、まるで違った世界であったこと……それから来る憂愁の感覚であった。しかしこの感覚は信吉には説明出来ない。孤独とはこんなものであろうか。

信吉はふと眉を翳らせて、それが癖の放心しているような虚ろな眼をあげて、きょとんと白い雨足を見ていたが、一つの気分に永く閉じこもることの出来ない信吉はすぐ軽佻浮薄な笑い声にふくませて、

「僕は雨男ですね、旅行するときっと雨が降るんですよ。あんたは雨がきらい……?」

すると伊都子は、

「雨はきらいだけど、雨男は好きよ」

「どうして……?」