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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页
多年の恩を仇で報ずるような心掛けは実に憎むべきだが、阿呆払いにして我慢をしよう。書類が無事に返って、謄本が手に入れば、私の方はそれで宜しい」
園田氏も漸く日頃の寛濶な自分に還りました。
「聞いたか小柴。此ままで許すのは惜しいが、御主人の仰しゃることも道理だ。其辺にマゴマゴして居ると承知しないぞ、サア西の海へすっ飛んで行けッ」
窓を開けて、永田町の往来へ、小柴の身体は放り出されてしまいました。
「ところで花房君、どうして小柴が犯人と解ったか、それを聞かない内はどうも安心が出来ない」
園田氏はなお花房一郎を追及します。
「イヤ、何んでも無いことです。――この二日ばかりで、いろいろ調べ上げて見ると、斯ういう事が解ったのです。小柴は秘書をして長くお屋敷に出入して居る内に、――御本人のいらっしゃる前で申しては何んですが、――お嬢様へ恋着したのです。ところがそのお嬢さんは、高城鉄也君と親しくなられて、家出をされてしまったので、一つは恋讐の高城君に仇をする積り、一つは、あの謄本を反対党に売って、大金をせしめる積りであんな芝居を仕組んだのです。私が最初早坂勇君を疑ったのも大間違いでしたが、紫外線写真で釣られて、高城君を疑ったのも恐ろしい間違でした。