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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页
八
「あ、貴方は高城さん、私は花枝――あの、謄本を返して下さい、――父の手許へ。――エ、エ? 機密書類の謄本ですよ、――外交研究会の事務所の金庫から出た、――わかりませんか??? ――私は今、事務所に居るんです、――イエイエ、いらっしゃるには及びません、謄本を返してさえ下されば。――解りません? ――何うしたんでしょう、そんな筈は無いんですが。――今大変なのです、紫外線写真で、貴方は写真を撮られたんです。エ? エ? 此処へいらっしゃる。それはいけませんワ、父と、花房さんと、千種さんが在っしゃるんです――エ? ――謄本は? 御存じない、どうしても――」
花枝は受話器を握ったまま、途方に暮れて、呆然と父の顔、花房探偵の顔、千種十次郎の顔を順々と見廻しました。
八
高城鉄也は、とうとうこの一座の中へ飛込んで来ました。花枝の電話が要領を得なかったので、自分から進んで外交研究会の騒の中へやって来たのです。
「高城、君は実に怪しからん男だ」
会長室へ入って来る高城鉄也の清躯を見ると、園田敬太郎氏はたまり兼ねて一喝を浴せました。
「何を仰しゃるのです」
高城は慇懃に挨拶し乍らも、園田氏の一喝を受けて、思わず屹と立ち止りました。