轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

この魔法めいた不思議を、どう解釈すればよいのでしょう。鏡の部屋に何の仕掛けもなく、十数人の追手の目に間違いがなかったとすれば、犯人は絶対に逃げ出す術はなかったのではありますまいか。つまり犯人はそこにいたのではないでしょうか。僕はこういう仮説を立てて見たのです。犯人は決して逃げなかった。最後まで追手の真中に踏みとどまっていたのだ。しかも、追手達はそれが犯人だとはどうしても考え得ないような、一種不可思議の手段によって、ちゃんとその場にいたのだという仮説です」

明智はそこで言葉を切って、謎のような微笑を浮べながら一座を見廻したが、誰も物を云うものはなかった。人々は酔えるが如く押黙って、ただ話手の顔を凝視するばかりであった。

「第二は山梨県の山中の川手氏の隠れ家を、犯人はどうしてあんなに易々と発見することが出来たかという点です。川手氏の話によりますと、宗像君は犯人の尾行を防ぐために、実に驚くべき努力をしておられます。宗像君と川手氏とは、念入りな変装をした上に、市内のビルディングで籠抜けをしたり、態々別の方角へ汽車に乗ったり、目的地へ達しても駅へは降りないで、危険を冒して進行中の汽車から飛降りたり、実にここには云い尽せない程の苦心をしているのです。