轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

02 第二分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页

青空文庫

云い捨てると、急使の武士は、駒の背へとび移って、臨済寺の門へと駈けつけて行った。

禅刹は森としていた。

わけてこの秋、雪斎長老の亡き後は、山門も堂宇も、森も、よけい寂寞の感が深かった。もずの啼く音も、何となく淋しく、肌さむい初冬だった。

けれど、きょうの雪斎四十九日の忌に焼香した今川家の将士の中には、どことなく平和を欠いた騒めきが漲っていた。辻固めの士にまで、殺気に近い緊張が流れていた。――戦がある。長老の死は、お館の上洛の機を早め、隣国の敵は、気勢を得て、虚を衝こうとするにちがいない。

(――だからいずれにしても、合戦は間近くなった)

今川家の人々は、そういう覚悟の中に、刻々と、国境の変を、この二、三日、耳にしていたところなのである。

誰と誰と誰とは残るようにという指名で、その日、法会のすんだ後も、臨済寺の奥書院には、義元を中心に、今川家の幕将二十名ほどが密やかに、何事か評議していた。

巨星雪斎が逝いてから、義元の帷幕には、義元の意見を制する者はいなくなった。いつも黙って末席にいる松平元康は、時勢観でも、今日の方策でも、亡師の雪斎と最も近い意見を抱いていたが、彼は外藩の質子の身だし、余りに若年でもあるし、いうても取り上げられないことは知れすぎているので、一見、意見も何もないように、沈黙をまもり通してい