轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
02 第二分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页
去った瞬間、
「駿河殿やこれにあるッ」
と、残余の幕将へ目がけて、槍をつけて来た織田方の武士があった。
「推参ッ」
と、斎藤掃部助が、槍をあわせた時、敵は、
「信長公の身内、前田犬千代ッ!」
と、喘ぐ息で名乗ったので、
「今川家譜代の臣、斎藤掃部助ッ」
と、彼も応じ、
「かツッ」
と、くだ槍の先も突き折れよと、一挙に圧して行く。
「何をッ」
犬千代は、身をひらき、敵へ空を突かせて、よい機を見たが、長槍を持ち直している遑がなかったので、掃部助の頭を撲りつけた。
かんと、兜の鉢金が鳴った。掃部助は、雨の中へ、両手をついて、四つン這いになった。ところへ、
「高井蔵人ッ」
「四宮右衛門佐ッ」
などと名乗りかける敵の声が耳のそばでした。犬千代が、槍を向け直した時、敵か味方か仰向けに、ぶっ仆れた者がある。その死骸につまずいて、犬千代も蹌めいた。
「木下藤吉郎ッ」
どこかで、名乗っている声がする。犬千代は、にことした。その笑靨へ、風が、雨が、びゅッと打つけてくる。何を見ても、泥であった。何処を見ても、血であった。
辷る、転ぶ。――と、思うと、もう側にいた敵も味方もいない。死骸の上に、死骸が折り重なっている。