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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
02 第二分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页
はははは」
と、右近は、周りにいる棟梁や下役たちを顧みて、自分の大きなところも見せるつもりか、笑い捨てて、藤吉郎へ後ろを向けた。
大工棟梁や左官棟梁は、それで事はすんだものと思い、奉行の床几を囲んで、再び工事の絵図面などをひろげていた。
「…………」
だが、藤吉郎は、動かないのであった。右近の背を睨めつけたまま、去ろうともしないのだ。
奉行の下役達が、
「木下氏。もうよい」
「お叱りは、それだけだ。以後、気をつけさえすればいい」
「さ。帰れ」
宥めたり、連れ去ろうとしたが、藤吉郎は耳もかさない顔して、奉行の背中と、棟梁どもの評議とを、睨むように見ていた。
「…………」
そうしているまに、彼の若い気性と、その若い血のなかに持っている理性とが、頭のなかで、彼の哄笑を抑しきれない泡つぶでも立てたように、突然、藤吉郎は、ばかばかしく大きな声で笑いだした。
評議中の棟梁や、下役人たちは、びっくりして図面から顔を上げた。
床几に倚っていた奉行の山淵右近も、きっと、後ろを見て、
「何を笑う!」
と怒った。
藤吉郎は、なお笑って、
「おかしいから笑うのだ」
いうと、
「無礼なことを――」