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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

爽やかな風がふき通した。

「物が早く腐える」

とか、

「塵が目立つ」

とかいう苦情にも、彼は、耳をかさなかった。

清潔になった。

無駄が目に見えて来て、無駄がなくなって来た。

総じて、一年も経つと、ここも、彼の性格そのまま、明るく風通しよく、活動的な機能を持つ所と変って来たのである。

すると、その年の冬。

今までの炭薪奉行、村井長門守は免役になって、その跡役へ、藤吉郎が奉行に任じられた。

なぜ、長門守が、役目を罷めさせられたのか。

そしてなぜ、自分が、炭薪奉行に登用されたのか。

藤吉郎は、信長から任命されると、同時に、それを考えてみた。

「ははあ、炭薪の費えを、もっと節約せよとのお旨だな。いや、そのお旨は、一昨年から出ているが、村井長門の節約ぶりでは、お気に召さぬのだな」

で――彼は、広い城内の炭火のある所、薪を使用している所を、新奉行として、隈なく見て歩いた。

御用部屋、控部屋、書院、詰の間、奥、お表、どんな所にも、冬は火の気があったし、大きな炉も切ってあった。

わけて、小者部屋だの、若侍たちの屯には、山のように木炭を炉にあけて、冗費していた。

「木下殿だ。