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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

楠山正雄『日本の諸国物語』。同一底本的分册已合并为一书。收入:殺生石、葛の葉狐、和尚さんと小僧、長い名、鬼六、物のいわれ、赤い玉、安達が原、雷のさずけもの、白い鳥、忠義な犬、春山秋山、人馬、松山鏡、三輪の麻糸、夢占、瓜子姫子、姨捨山、山姥の話、しっぺい太郎。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,040 字 · 158 页

青空文庫

」

といって、二つの品物を保名に渡しますと、そのまますうっと狐の姿はやみの中に消えてしまいました。

三

狐のふしぎな宝物を授かったせいでしょうか、狐の子供の阿倍の童子は、並の子供と違って、生まれつき大そう賢くて、八つになると、ずんずんむずかしい本を読みはじめ、阿倍の家に昔から伝わって、だれも読む者のなかった天文、数学の巻き物から、占いや医学の本まで、何ということなしにみな読んでしまって、もう十三の年には、日本中でだれもかなうもののないほどの学者になってしまいました。

するとある日のことでした。童子はいつものとおり一間に入って、天文の本をしきりに読んでいますと、すぐ前の庭の柿の木に、からすが二羽、かあかあいって飛んで来ました。そして何かがちゃがちゃおしゃべりをはじめました。何をからすはいっているのか知らんと思って、童子は例のふしぎな玉を耳に当てますと、このからすは東の方から来た関東のからすと、西の方から来た京都のからすでした。京都のからすは関東のからすに向かって、このごろ都で見て来た話をしました。

「都の御所では、天子さまが大病で、大そうなさわぎをしているよ。