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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
楠山正雄『日本の諸国物語』。同一底本的分册已合并为一书。收入:殺生石、葛の葉狐、和尚さんと小僧、長い名、鬼六、物のいわれ、赤い玉、安達が原、雷のさずけもの、白い鳥、忠義な犬、春山秋山、人馬、松山鏡、三輪の麻糸、夢占、瓜子姫子、姨捨山、山姥の話、しっぺい太郎。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,040 字 · 158 页
姨捨山
一
むかし、信濃国に一人の殿様がありました。殿様は大そうおじいさんやおばあさんがきらいで、
「年寄はきたならしいばかりで、国のために何の役にも立たない。」
といって、七十を越した年寄は残らず島流しにしてしまいました。流されて行った島にはろくろく食べるものもありませんし、よしあっても、体の不自由な年寄にはそれを自由に取って食べることができませんでしたから、みんな行くとすぐ死んでしまいました。国中の人は悲しがって、殿様をうらみましたけれど、どうすることもできませんでした。
すると、この信濃国の更科という所に、おかあさんと二人で暮らしている一人のお百姓がありました。ところがおかあさんが今年七十になりますので、今にも殿様の家来が来てつかまえて行きはしないかと、お百姓は毎日そればっかり気になって、畑の仕事もろくろく手がつきませんでした。そのうちとうとうがまんができなくなって、「無慈悲な役人なんぞに引きずられて、どこだか知れない島に捨てられるよりも、これはいっそ、自分でおかあさんを捨てて来た方が安心だ。」と思うようになりました。
ちょうど八月十五夜の晩でした。