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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

楠山正雄『日本の諸国物語』。同一底本的分册已合并为一书。收入:殺生石、葛の葉狐、和尚さんと小僧、長い名、鬼六、物のいわれ、赤い玉、安達が原、雷のさずけもの、白い鳥、忠義な犬、春山秋山、人馬、松山鏡、三輪の麻糸、夢占、瓜子姫子、姨捨山、山姥の話、しっぺい太郎。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,040 字 · 158 页

青空文庫

鬼六

一

ある村の真ん中に、大きな川が流れていました。その川は大へん流れが強くて速くて、昔から代々、村の人が何度橋をかけても、すぐ流されてしまいます。村の人たちも困りきって、都で名だかい大工の名人を呼んで来て、こんどこそけっして流れない、丈夫な橋をかけてもらうことにしました。

大工はせっかく見込まれて頼まれたので、うんといって引き受けてはみたものの、いよいよその場へ来てみて、さすがの名人も、あっといって驚きました。ひっきりなし、川の水はくるくる目の回るような速さで、渦をまいて、ふくれ上がり、ものすごい音を立ててわき返っていました。

「このおそろしい流れの上に、どうして橋がかけられよう。」

大工は、こう独り言をいいながら、ただあきれて途方にくれて、川の水をぼんやりながめていました。

すると、どこからか、

「どうした、名人、そこで何を考えている。」

という者がありました。

大工が驚いて、見まわすとたん、水の上にぶく、ぶく、ぶくと大きな泡が立ったと思うと、おそろしく大きな、鬼のような顔がそこにぽっかりあらわれました。

大工は、妙な、気味の悪いやつが出て来たと思いながら、わざとへいきで、