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にっき
日記
宮本 百合子
10 一九二四年(大正十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,778 字 · 82 页
母上も亢奮した声でしきりに金庫を持ち出せる用意を父上に頼んで居られた。丁度早い人はそろそろ朝餐の仕度にかかる頃なので、火事を心配した。今度の地震では「どこから出ていいか分らねえごんだ」と云ってあわてた祖母と、Bed を降りようとして畳を足で掻いた自分とが一番滑稽を演じた。
小南、松屋へこの半ペラ原稿紙を買いにやり、午後から、野上さんのところに行く。
いろいろ新年号の作品の話。やはり芥川氏の「糸女覚え書」がとにかくまとまり、同時に自分の見方をはっきりさせて居ると云うこと。
菊池寛氏の真似大笑い。
臼川氏もかえって来られ、九州からのだと云うかまぼこを御馳走になり乍ら種々話す。今臼川氏 show の講義をして居られるので show の話栄え、多く学んだ。
内田百間氏が日本字を愛し、神経そのもののようで、漱石全集の校正も余りやかましく活字の形まで云々されるので、ついにけんかして(一部の人と)やめてしまったと云うこと。
又、或人、家では厳格なクリスチャンで、外ではへべれけになる。然し妻君は良人が「酒は一滴もいただきません」と云い、それを信じて居る。では、酔ったときはどうするのですかと云ったら、二時間でも三時間でも散歩すると云ったそうだ。