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にっき

日記

宮本 百合子

10 一九二四年(大正十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,778 字 · 82 页

青空文庫

一月十日

一月十一日

一月十日 木 晴

Aの兄、今日かえると云って、朝家居、荷物をまとめる。自分手伝いつつ、フト思いついてトシコにリボンを二かけ買い足してやった。子供のとき貰ったものの価値と美しさ立派さは大人になって理解出来ず、而も、子供のときの印象のままに承認する不思議なものだ。私が九つ位で父上からいただいた鉄砲だまと、銀メッキのペンシルとハムとは忘れられないものだ。兄、七時幾分かの汽車で出立、A送る。林町から古いクリスマス cake とのりとを土産にと云ってとどけて下さる。

一月十一日 金 晴

何となくのびのびとした心持になった。Aもしきりにそれを云う。午後倉知に行こうとし、髪も結わなかったところへ、久しぶりに大関柊郎来。六甲に居て酒をのんでばかり居た由。先会ったときより、又一段ゆるんで居る。それでも焦燥して居ると見え、仕事のことばかり話した。六甲ホテルに、大橋房、山田耕筰一つ部屋に居、人が来ると、自分達の pure なことを示すために、サーディンのカンヅメのように頭と足とたがいちがいに臥たと云う話をきく。馬鹿らし。こだわりのある醜さでたまらない。それから見ると、佐藤春夫氏の部屋の Bed に眠ったと云う女、ずっとずっと美し。