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にっき
日記
宮本 百合子
10 一九二四年(大正十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,778 字 · 82 页
一月七日
私なども、「貧しき人々」以来、彼方此方に何かを模索し、近頃、自己の模索したこと、する弱いことをだけ自覚した時代だ。
河井酔茗氏が、典雅ではあるが力が足らず「一代の流風をかたづくるに到らなかった」結果として、大正十二年の冬、私のところにアルス婦人叢書の依頼に来られ、然もなお詩をかたって興じる。その心持。
彼にも他の詩人達の評は出来た!
おそるべし。つつしむべし。
私の精進する点は、自分の真に求めるものは何かそれを本当にはっきりさせることだ。自分がどう云う道で人生を渡って行こうとするか、その道をしっかり踏まえることだ。
一月七日 月 晴
丸善に Andreyev の Anathema, Butcher の the Poetic of Aristotle を注文する。Aの兄、四十年生れて始めての東京の雑踏で少し神経衰弱の気味。風邪ひきも手つだい頭が少し痛むらしい。彼も沈黙家。印象が定った形、一種の moral を伴って心に沈んで行くらしい。A、三越につれてゆき種々の買いものをして来る。一として実用品ならざるはなし。
私共がたった二十円の商品券を、去年の夏からこの目的のためにとって置いたことを思うと微笑せられる。