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にっき

日記

宮本 百合子

10 一九二四年(大正十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,778 字 · 82 页

青空文庫

一月十二日

一月十三日

一月十四日

一月十二日 土

倉知に行く。国男も来。天然痘流行の話で、倉知の者は皆、種痘した。国男夜、三人で起きて居るとき、Hちゃんのドイツ語の先生、塚本と云う友達の兄がまるでよくない男と思えるから、Hちゃんにドイツ語の本も見せるな、と云い出す。私が彼の心持を批評したので反省し、只用心しろ、と云うことになったが、Hちゃん、半愛人の感情なので、苦しがり泣いた。顔を抑えた指の間から、ポタリポタリ、暗い灯の下に涙の落るの。見て居られない気がした。愛らしいものだ。

〔欄外に〕倉知から夕方かえる。種痘をさいと二人でする。

一月十三日 日 晴

Francis Edwards と云う本屋からAに来たカタログ、「アラビアン・ナイト」等なかなかいい本があるのに、皆 10 pounds 以上、情けなし、僅かのキプリング、ビョルンソンを命じることにする。

〔欄外に〕『読売』の日記をカク。

一月十四日 月 晴

正月になって始めて林町にゆく。Aも大学の日なので、かえりによる。国男さんに会うのが愉しみなのに、夜倉知へ風呂へ入ると云ってかえてしまった。松平さん来、久しぶりで伴奏をひき、少し歌う。あの人歌をうたうときだけ自分の情緒を出す。