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にっき

日記

宮本 百合子

10 一九二四年(大正十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,778 字 · 82 页

青空文庫

一月五日

而も私の一身上深い関係を持って居る以上、年末とか年始とか日本の習慣の折り目になると、何か一種の義務を感じるのだ。

自分と先生とのいきさつ、寧ろ、私の先生に対するやや神経質な、然し先生の誠意と自分の受けたものの価値に対する自覚の心持には、書けるものがある。

私のわずらいになって居るのは、父の遺伝の常識的社交性だ。社会と自分と云うものの対立が画然として居ない。而して、内面に全然ダ協し切れないものがあるので、弱い苦しみかたをするのだ。現代多くの教養ある女性のように。徳川時代、下町のきかぬ気の女が芸者になったわけだ。現代の不良少女が出るわけだ。

〔欄外に〕この点、里見氏の不良青年に対する good will と共鳴するものあり。

一月五日 土 晴、暖。

A、兄と三越に土産物買いに出かける。

本田の道ちゃん、三月に結婚して新居をかまえる。参考がてらと云って三十分ほど話して行く。新妻の親は、南條文雄。(文学博士?)「法城を護る人々」の中に出る本願寺の手下の博士かと思い、本田の性格と引きくらべ、一寸妙な然し、よく調和した俗さだと思った。白鳥氏、田中純の「襦袢」をほむ。