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こよみ

暦

壺井 栄

「新潮」1940(昭和15)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,332 字 · 112 页

青空文庫

隼太を頭にミチ、カヤノ、フサエ、八重、高子と女ばかり五人つづき、十二を頭に六人の子持である上へ、隼太が生れて間もなく、千吉におたねという七つと五つの姉弟の孤児を拾い上げて育てた。近村から流れてきて、隣りの神社の堂や浜の漁船の中に姉弟で抱き合って寝ている二人の幼児を初めは別にそんな気もなくただ可哀そうに思えて食物などを与えているうちに、いねは姉さん姉さんと慕われだし、いっそのこと、と重吉やかやとも相談して虱だらけの着物をぬがせ、頭を坊主にして家へ入れたのであった。それを合せて子供が八人、まだその上へ入り代り立ち替り樽屋の弟子が、小さいのは小学校四年を出たばかりのから(その当時は小学校は四年制であった)大きなのは兵隊検査前まで五六人ずついた。日向の一家は雀の宿のように賑やかで、五升炊きの大釜で飯を炊いていた。弟子たちも千吉やおたねも子供と同じように育てられ、兄妹のように喧嘩をした。そういう騒々しさを見て、

「ようもまあ物好きな」と、他人の子まで育てることを呆れるようにいう人たちに、かやは、

「親の子ぶにを息子がうけたんじゃろ」といい、いねはいねで、

「五人育てりゃ五つの楽しみ、七人育てりゃ七つの楽しみ」