轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页
と告げた。甲斐は頷き、待たせておけと云って、盃を伏せた。それはこの会の終ったことを示すように、客たちにはみえた。
「どうかお構いなく」と七十郎は云った、「私はまだこれからですから、皆さんはどうかお構いなくやって下さい、丹三郎、酒をもっと云いつけておいてくれ」
甲斐は茶を命じた。
七十郎は腰を据えて飲みだしたが、まもなく片倉小十郎が立ち、鳥羽が立ち、里見十左衛門も立った。三人が去ってから、甲斐も座を立つと、七十郎がにっと笑いながら云った。
「みごとでしたよ、原田さん」
甲斐は振向いて、静かな眼で七十郎を見た。七十郎はもういちど笑った。
「私は貴方が好きだ」
「あれだけ私をへこませてか」と甲斐が云った。
七十郎は肩をすくめた、「冗談でしょう、貴方をへこませるかどうか、貴方の詩をひきたてるために、私がへたな琴を弾いたことはわかっている筈です」
「わからないね、いっこうにわからない」
「私を舐めてはいけません」と七十郎は云った、「私は少なくとも耳が聞えるし眼も見えるし、わりに正確な勘も持っていますからね」
「それは知らなかったな」甲斐がゆっくりと云った、「覚えておこう」