轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たきぐち

滝口

山本 周五郎

「小説新潮」新潮社、1963(昭和38)年11月〜1964(昭和39)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,815 字 · 99 页

青空文庫

おりうは押えたままでいた手で、益村の膝をかなり強くつねった。その膝をおりうの手からよけながら着替えて来い、と益村は云った。ではこれ一本だけお酌してから、と云って、おりうは膝をすり寄せた。湯あがりでほてっている、やわらかに充実したおりうの腿の肉が、益村にはこちらの腿へ吸いつくように感じられた。初めてのときからこうだったな、と益村は思った。だんごという女中が来、おりうが着替えに立っていった。だんごというのは仇名で、本名はわからない。としは十六か七だろう、この「衣笠」には十二三のころから下働きに来ていて、去年はじめてお座敷へ出るようになった。躯も小さいし、顔はまるく、鼻もまるくちまちまとしていた。ぜんたいがいかにも「団子」という感じであり、当人もすすんでそれを認めていた。

――仇名で呼ばれるようになってから、あたしは初めて仕合せになった、と彼女はいつか告白した。貧乏人の子に生れたしこんなぶきりょうなので、いつも近所の人や子供たちにからかわれ、いじめられてばかりいたが、このお店へ来て、だんごという仇名をつけられたときから、みんなに可愛がられるようになった、だからあたしにとってはこの仇名が大切であるし、この名で呼ばれるあいだは仕合せでいられるのだ。