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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
御禁裡様をないがしろにし、『百姓はちょうど油かすのようなものじゃ、絞れば絞るほど汁が出る』と、こういったような考えのもとに、我々百姓を絞り取り、また町人に対しては、やれ運上の冥加金のと、いろいろの名目を押し立てては、これまた絞り取るに余念のない、その徳川の幕府に対し、反抗の旗を翻えし、天朝様の御世に返そうとする! ……これが義党の方々の、目的とするところなのじゃ! ……されば我々の味方なのじゃ! ……その義党の方々を、縛めようとするご領主なのじゃ、また紀州の藩士ばらなのじゃ! ……一団となって戦え! 戦え!」
ドッと喊声が湧き起こった。
「総大将は鵜の丸殿じゃ。わしは老人それに百姓、戦のことはトンと解らぬ! ……さあさあ兵庫殿采配をふられて、軍の備えをお立てくだされい!」
云われて兵庫は進み出た。
「かくなりましては戦う以外、とるべき手段なくなってござる! ……とはいえご領主を相手にして、このわずかの人数をもって、いかに力戦いたしましても、勝つべき理由ござりませぬ! 所詮一応干戈を交え、相手に一泡吹かせたあげく、一方の血路を開いて走り、他領の地へ潜入仕り、後日の計を立つるが得策! ……考え見ますれば我々同志が、この郷へ遁がれて参りましたばかりに、平和のこの郷を戦場とし、かつはそのあげく一郷離散、流浪の旅へ出